※この記事は北海道住宅新聞の「快適キッチンのミカタ」という連載記事を転載しています。北海道住宅新聞はこちら
リフォームする時のキッチン空間で大切なポイントは、排水・排気や照明・家電のコンセント位置などのハード面と、実際の使い勝手や生活面を想像しながら考えていくソフト面のご提案です。
そして一番大事な「ご予算」との折り合いがあります。しかしながら、忘れた頃にやってくるキッチンの機器類に関する維持管理コストにも注意が必要です。
手間や労力もコストのひとつ
キッチンはキャビネットと機器類の組み合わせです。
食器洗い乾燥機やIHヒーターの導入、清掃の手間が省ける換気扇、浄水器付き水栓、電動昇降吊戸等の機器類は、今までの不便を解消でき、キッチン作業の効率化を図ることができます。
一方で、こういった機器類の導入は、後の生活の中で発生してくるランニングコストやメンテナンス、維持管理コストや手間などを忘れずにいたいものです。
たとえば、浄水器付き水栓はフィルターの交換頻度や費用も考えておく必要がありますし、換気扇であれば、「10年お掃除いらず」の意味は「10年間、お掃除しなくても大丈夫」ではなく、「お掃除のスパンが今までよりも長く、クリーンに保てる」という意味の表現だったりします。
この点はカタログの注意書きを、よく確認することが大切です。
換気扇の捕集力の違いやフィルターの有無もその後のコストに違いが出てきます。
ガスコンロは意匠性からシルバー色を選ぶこともありますが、シルバー色の五徳は使っていくうちにコンロの火で黒く跡がついてしまい、残念ながら取ることができません。
左右の火力や内炎式、外炎式によって機能性や清掃性が異なります。
キッチンの機器を選ぶ際は、一つ一つ丁寧に検証し納得いただくことがお客様の満足度につながります。衛生管理の手間や労力も見えないコストの一つ。
あとから見えてくる「費用」がある、ということを忘れないでお客様にお伝えしたいものです。
☆ポイント☆
キッチンの機器類は見えないコストも検証する
快適キッチンのミカタは連載です。
次回記事はこちら 第9回 高齢化対応キッチンと車椅子対応キッチンのちがい
阿部 美子さん:ララプラスキッチン代表
住宅設備機器ショールームに勤務した8年半で約1000組のキッチン提案を行い、2007年ショールーム営業部門で全国第1位を獲得。社長表彰を受ける。2012年に全国初、唯一のキッチン空間に特化したキッチンアドバイザーとして活動を開始。
公式サイトはこちら
連載一覧
第1回 キッチンに立つたびに幸せな気持ちになる
第2回 ヒューマンスケールを知る
第3回 キッチンの高さを決める作業点
第4回 キッチン空間のハインリッヒの法則
第5回 会話の見える化で快適キッチン提案
第6回 つい、見落としがちなキッチン空間のポイント
第7回 体にやさしいLDKのつなぎかた
第8回 忘れたころにやってくる・・・キッチン機器のコスト
第9回 高齢化対応キッチンと車椅子対応キッチンのちがい
第10回 使える話題‼️ オープンキッチンと女性の社会進出
第11回 宙に浮く「フロートデザイン」が人気の理由
第12回 「料理」を家事として見た時のキッチン選び
第13回 安心は禁物! 視線が届かない対面キッチンも
第14回 生活スタイルの変化で人気の海外製食洗機
第15回 快適なレイアウトの秘訣は「利き手」にあった!
第16回 リビングキッチンの配色テクニック
第17回 意外と見落としがちなシンクと水栓の距離
第18回 似ているようで違う! キッチン天板の選び方
2021年05月現在の情報です。詳細は各社公式サイト・電話等でご確認ください。