Column いえズーム コラム

【連載10】使える話題‼️ オープンキッチンと女性の社会進出

リビングキッチン・オープンキッチンの登場は、女性の社会進出が背景に(写真はイメージ)


※この記事は北海道住宅新聞の「快適キッチンのミカタ」という連載記事を転載しています。北海道住宅新聞はこちら

おうち時間が増えたことで、リフォームや新築の間取りをじっくり考える方が多くなっています。

間取りを考える時、キッチンの位置・配置は大切なポイントの一つになりますが、最近増えた居間の真ん中にあるリビングキッチンや、間取りの真ん中に配置されるオープンキッチンが登場するまでには、意外な理由と背景があることをご存知でしょうか?

クローズキッチンからオープンキッチンへ

キッチンはラテン語のcycene(クチーナ)が語源といわれていますが、日本の「台所」の語源は平安時代の「台盤所」。この「盤」は大きな皿のようなものを指し、それをのせる4つ脚の台が置かれた作業場という意味がありました。

作業場である台盤所は、調理のニオイが客間に漏れないよう、客間などから離れた場所に位置していたことに加え、当時作業に必要な火や水などは外にあったこともあり、「台所」が家の間取りの中に入ってくるまでは長い時間の経過をたどります。


日本の台所の語源となった平安時代の「台盤所」のイメージ


近代になって家の中に台所が入ってきても、昔のなごりからか「作業」の場所である「台所」は北側の寒く、暗い、孤独な場所に離れて設けられていましたが、30年ほど前に女性の社会進出で兼業主婦が多くなり、「ながら仕事」「時短家事」というニーズが出てきたことを背景に、対面キッチンが人気になりました。

そして台所は家族が集まる場所に配置されていくようになり、今や孤独に作業する場所ではなく、家族でシェアする空間として、リビングの真ん中に堂々と配置される姿に変化したのです。

オープンキッチンを採用する動機も、はじめは「家族や子供の気配を感じたい」「テレビを見ながら調理したい」「会話を楽しみたい」という女性目線での理由のほか、男性が孤独を感じないために「作業している人のそばで、読書やお茶や会話を楽しみたい」という、男性目線の理由もあるそうです。

女性が活躍し、社会で輝いていく時代背景と家の間取りの中でのキッチンレイアウトは、不思議にリンクしているように思います。

☆ポイント☆
知っておきたい! キッチンスタイルの背景と暮らし

快適キッチンのミカタは連載です。
次回記事はこちら 第11回 宙に浮く「フロートデザイン」が人気の理由


阿部 美子さん:ララプラスキッチン代表

住宅設備機器ショールームに勤務した8年半で約1000組のキッチン提案を行い、2007年ショールーム営業部門で全国第1位を獲得。社長表彰を受ける。2012年に全国初、唯一のキッチン空間に特化したキッチンアドバイザーとして活動を開始。

公式サイトはこちら

連載一覧
第1回 キッチンに立つたびに幸せな気持ちになる
第2回 ヒューマンスケールを知る
第3回 キッチンの高さを決める作業点
第4回 キッチン空間のハインリッヒの法則
第5回 会話の見える化で快適キッチン提案
第6回 つい、見落としがちなキッチン空間のポイント
第7回 体にやさしいLDKのつなぎかた
第8回 忘れたころにやってくる・・・キッチン機器のコスト
第9回 高齢化対応キッチンと車椅子対応キッチンのちがい
第10回 使える話題‼️ オープンキッチンと女性の社会進出
第11回 宙に浮く「フロートデザイン」が人気の理由
第12回 「料理」を家事として見た時のキッチン選び
第13回 安心は禁物! 視線が届かない対面キッチンも
第14回 生活スタイルの変化で人気の海外製食洗機
第15回 快適なレイアウトの秘訣は「利き手」にあった!
第16回 リビングキッチンの配色テクニック
第17回 意外と見落としがちなシンクと水栓の距離
第18回 似ているようで違う! キッチン天板の選び方

2021年05月現在の情報です。詳細は各社公式サイト・電話等でご確認ください。

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