※この記事は北海道住宅新聞の「快適キッチンのミカタ」という連載記事を転載しています。北海道住宅新聞はこちら
ステイホームでおうち時間が増え、自宅ごはんも急増。キッチン関連売り場ではみじん切りスライサーやお皿、包丁を求める方が増えているようで、使いやすい道具の購買意欲と料理への関心度の高まりは、キッチンを使う時間の増加につながっています。
「共通するもの」と「数値」で伝える
実際に使う道具は「リアル」に感じてこそ信頼や安心が得られるものですが、コロナ禍の中、ショールームに自由に行けない、お客様と直接打合せができないなど、お客様にとってもご提案する側にとっても、はがゆい思いをされているのではないでしょうか。
電子カタログなどオンラインのツールがあるとはいえ、触感で確かめることができない分、双方の想像力に差異が生じないよう、情報提供には『会話の見える化』が大切になってきます。
私は、ショールーム勤務の時代、お客様から重要なポイントを教わりました。2世帯住宅を予定されていて、母娘でご来場されたご婦人が「キッチンの真ん中にある引き出しは、醤油のペットボトルが入りますか」と聞かれたのです。
この時、お客様がおっしゃる醤油は当時の1.8ℓのペットボトル。私が想像したのは普段使っている500㎖のものでした。
納品の日、2㎜の高さの違いで「醤油のペットボトルがまっすぐに収まらない!」とクレームがきました。お客様が使っている醤油のサイズを確認せず返事をしたことが原因です。
それから調味料のさまざまなペットボトルを並べてサイズを検証し、「○○サイズ」なら「○本、○個」入りますなど、誰もが想像できる「共通するもの」と「数値」で伝えることが、お客様の暮らしに安心を提供することになると学び、実行していきました。
今は道具も多様になり、使う調味料のサイズ、置き場所もそれぞれです。
キッチンへの意識が高まっているこの時にこそ、快適キッチンをご提案する時には『会話の見える化』を意識してみてください。
☆ポイント☆
生活実感に寄り添い「数値化して」伝える
快適キッチンのミカタは連載です。
次回はキッチンを設置してから後悔しない作業動線の考え方についてお伝えします。
次回記事はこちら 第6回 つい、見落としがちなキッチン空間のポイント
阿部 美子さん:ララプラスキッチン代表
住宅設備機器ショールームに勤務した8年半で約1000組のキッチン提案を行い、2007年ショールーム営業部門で全国第1位を獲得。社長表彰を受ける。2012年に全国初、唯一のキッチン空間に特化したキッチンアドバイザーとして活動を開始。
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連載一覧
第1回 キッチンに立つたびに幸せな気持ちになる
第2回 ヒューマンスケールを知る
第3回 キッチンの高さを決める作業点
第4回 キッチン空間のハインリッヒの法則
第5回 会話の見える化で快適キッチン提案
第6回 つい、見落としがちなキッチン空間のポイント
第7回 体にやさしいLDKのつなぎかた
第8回 忘れたころにやってくる・・・キッチン機器のコスト
第9回 高齢化対応キッチンと車椅子対応キッチンのちがい
第10回 使える話題‼️ オープンキッチンと女性の社会進出
第11回 宙に浮く「フロートデザイン」が人気の理由
第12回 「料理」を家事として見た時のキッチン選び
第13回 安心は禁物! 視線が届かない対面キッチンも
第14回 生活スタイルの変化で人気の海外製食洗機
第15回 快適なレイアウトの秘訣は「利き手」にあった!
第16回 リビングキッチンの配色テクニック
第17回 意外と見落としがちなシンクと水栓の距離
第18回 似ているようで違う! キッチン天板の選び方
2021年05月現在の情報です。詳細は各社公式サイト・電話等でご確認ください。